医療における賢明な選択

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 かぜに抗生物質は効かない、というのは、ある程度有名な話です。

 かぜの大部分の原因はウイルスで、抗生物質は細菌にしか効かない、というのが理由ですが、なぜそうなのでしょうか?

 ウイルスと細胞の違いは以下の通りです。

 

  • ウイルス …… 細胞を持たない
  • 細菌   …… 細胞を持つ

 

 抗生物質は、細胞に対して影響を与えます。なので、ウイルスには効かないのですね。

 というわけなので、基本的にかぜをひいたときには、対症療法としてOTC医薬品などで症状を和らげて自力で回復するのを待つ、という選択をすることになります。

 参考:細菌とウイルス | 感染症の基本 | 一般の方へ | かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~

  参考:抗菌薬とは | 感染症の基本 | 一般の方へ | かしこく治して、明日につなぐ~抗菌薬を上手に使ってAMR対策~

 

 このように、賢明な選択をすることを推進する「Choosing Wisely」という活動があります。

 この活動自体は、米国から始まったものだそうです。

米国内科専門医機構(American Board of Internal Medicine:ABIM)財団が2012年に始めたキャンペーンで、「根拠が乏しいにもかかわらず実施されている過剰な医療行為をEBM(科学的な裏づけ)の観点から見直す」という活動である。
 医療者と患者が、対話を通じて、
  ・EBMがあり
  ・すでに行われた医療とは重ならず
  ・害が少なく
  ・患者にとって真に必要な
医療(検査、治療、処置)の“賢明な選択”をめざす国際的なキャンペーン活動である。
 医学会はもとより、一般市民にもわかりやすく公開し、医療提供者と市民の間で相互に考え、過剰診療を減らそうといういわば‘草の根活動’である。現在は80の専門医学会が参加し、約500項目のリストが公開されるまでになっている。

 参考:http://www.oka-hosp-a.jp/iryouinfo/keyword/files/key_a-c.html

 

 日本でも同様の活動「Choosing Wisely Japan」が始まっています。

 先のかぜに抗生物質を、という件もそうですが、これらは決して「してはならない」ということを言っているのではなく、きちんとお医者さんと話し合った上で決めましょう、ということを言っています。

 お医者さんであれば検査や治療法の効果の良し悪しが分かることも、一般人には分からないことが多いです。一方、専門的な用語であっても様々なメディアから情報が入ってくる時代でもあり、正しい知識と間違った知識がまぜこぜになって入ってしまうことも多いです。

 病気に対する不安から、たくさん検査をしたり薬を飲んだりしたい気持ちになるのは当然のことだと思いますが、検査も薬もどちらも万能ではなく、効果よりも副作用のほうが大きいこともある、ということをきちんと理解しておくことも、また大事だと思います。

 

 こういう背景を知ると、「検査や薬は身体に悪いんだ」と思い込み、今度は検査も受けないし薬も飲まないという判断をする傾向になることがありますが、それは間違いです。

 重要なことは、お医者さんときちんと対話をして、賢明な選択をするというところにあります。