3Dプリント薬

マサチューセッツ工科大学(MIT)で開発されたコンピューターによる3Dプリント技術により、オーダーメイド医療における新たな刺激的かつ画期的な可能性が見えてきた。

MITが様々な分野における3Dプリント特許技術の使用を認可する中、米国に拠点を置くAprecia Pharmaceuticals社は2007年、製薬目的で使用する3Dプリント技術の独占権を獲得した。

Aprecia社は同技術の実用化に成功し、てんかん患者の発作を治療する薬品である、世界初の3DプリントSpritam(化学名:Levetiracetam)を開発した。パウダー状にした同薬品を液状物質で挟み、光顕レベルで結合させることで作られるこれらのプリント錠剤は、非常に多孔質で液体に触れると素早く溶解する。これがまさに他に類のない特性であり、突然の発作への対処という主要な目的に対して著しい効果を示す特性でもある。

薬は、医薬品としての有効成分 (API) と、賦形剤 (API の取扱いや整形、服用を便利にするため使用される不活性物質) から構成される。ウォレス氏は、API を「治癒能力を持つインク」か、3D プリント可能な他の材料に変えることが課題だと話す。

製薬業界が特に注目している手法が、インクジェット 3D プリントだ。現在の生産プロセスとの類似点が多く、効率に優れた長期的なプリンティング ソリューションを提供できる可能性があるためだ。

ウォレス氏は、3D プリントは「薬をさまざまな形で提供できるよう、複雑な形状や表面で成形する」技術も可能にすると話す。錠剤の表面のコントロールは、成分含量の調整や放出速度の変更、薬の味のマスキングに利用できる。

さらに、FDA は医薬品製造の 3D プリントにも乗り出している。規制機関である FDA は「医薬品製造技術における継続的なイノベーションを刺激する」と考えており、3D プリントの促進に熱心だ。

ウォレス氏は、機械工学分野だった学生時代には、確かに試験や分析に過度の時間がかかっていたという。まさに、3D プリントなどのテクノロジーが時間節約に役立つ領域だ。「迅速なプロトタイプ作成により、同じ時間で15回もの反復を行えるでしょう」と、ウォレス氏。「低コストで学習速度を加速できます」。

thebridge.jp

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