サイバー心気症

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 突然ですが、あなたには頭痛があります。気になって病院にかかりましたが、何でもありません、ただの片頭痛です、とお医者さんに言われます。気になるなら痛み止めを出しておきますが、どうしますか?と言われます。痛み止めをもらって飲んでみたものの、頭痛は収まりません。またお医者さんにかかりましたが、そういうものですよ、といって、また痛み止めをもらいます。

 

 そんなとき、あなたは自分の頭痛は何か恐ろしい病気のせいであって、このお医者さんがそれを理解できないだけなのではないか、そう思ってしまわないでしょうか?

 自分しか分からないからだの問題を、何か恐ろしい病気にかかっているせいではないか、と思い込んでしまうことを心気症というそうです。

 原因が分からない症状に対しては、不安になるものです。ネットが発達している現代では、容易にそういった、からだの不調の内容と病気の関係を示す情報にたどり着くことができます。サイバー心気症という言葉は一般的な言葉かは分かりませんが、分かりやすいなとは思います。

 でも、自分は確かに異変を感じている。なのに、医師は気のせいと言う。そういう状況になったとき、自分の異変を否定されたように感じて、医師が間違っていると思い込んでしまうのは、そんなにおかしなことでもないかなと思います。医師も人間ですから、間違うこともあります。1%以下の確率かもしれませんが、本当にそうである可能性もあります。確率の問題というのは、個人にとってみれば、どうでもいい問題です。そうかもしれない、という不安を拭い去ってくれるものではないのですから。不安を拭い去ってくれるのは、異変を病気だとちゃんと診断してくれて、できれば異変をなくしてくれる治療を施してくれること、それだけです。

 

 ある医師は、「ネットでの自己診断を止めて医師にかかるように。もし何も問題ないのなら心配せずその診断を受け入れ、それでも不安になるようならばストレスに対応する心理療法の一種である認知行動療法をお勧めする」と言っています。

 これは最初の医療はGPが診ることが決まっているGP制度が整備されている英国の医師の発言ですので、そのまま日本では当てはまらないかもしれませんが、いや、そもそも、病気かどうかの最初の診断は自分でやらなければならないではないですか。毎日医師が自分の身体を診てくれて、自分の身体に起きていることを自分と同じように感じてくれて、それでちゃんと診断してくれるのなら、診断結果を受け入れますけど、そんなことは現実にはないじゃないですか。どんどんと患者が来る忙しくて疲弊している状況の中で、少しの診察時間と不十分な情報で判断しているじゃないですか。それで誤診になる例も知っていますよ!

 と、きっと思う人はいるはずです。 

  それでもお医者さんは正しいのであり、私たちに残されているのは、不安をなかったことにすることだけです。

 納得はできないかもしれませんが、それでお医者さんを変えたり、検査を重ねても、結果は変わりません。自分が疲弊するだけです。それによって、本当の病気になってしまうかもしれません。そうすると、1%以下の確率をとるのか、今後の行動で病気になる確率をとるのか、という話になります。この確率の問題はもう、どうでもいい問題ではありません。

 

 ただ、実際に、重篤な疾患が潜んでいた例もあります。

  「医者は現場でどう考えるか」という本に、海外の例ではありますが、いくつかの事例が載っています。

医者は現場でどう考えるか

医者は現場でどう考えるか

 

 

 まるで医療ドラマを見ているかのような、お医者さんの苦悩が生々しく描かれている本でした。訳者は若い医師に読んでほしいと思っているとのことですが、一般人が読んでも楽しめました。

 私たちが悩んでいるのと同様、お医者さんも悩んでいます。

 

 もしどうしようもなくなって、どうしても治療したいという場合には、闇雲にお医者さんを変えるのではなく、難しい症例を得意にしている病院がありますので、そういった病院にかかるようにしましょう。